ないものねだりの私に、先輩が放った言葉
ないものねだり
私の悪癖だ。小さい頃から自分が持っていないものに憧れた。頭脳・身体能力・音楽的センス。想像の中では、私はなんでもできる子。でも、現実は違った。時折この悪癖が顔を出す。自分で選択した道なのに、不満ばかりが募り疲れが溜まっていく。最近は愚痴のオンパレードだ。
「自分で選択した道なのに、楽しめないんですよね。幸せになれると思ったのに。」
ふとした時、付き合いの長い先輩に言ってみた。
先輩は、一瞬黙った。
そしてこう言った。
「今」は、君がこれまで一生懸命選択してきた結果だよ。
そりゃあ、若さ故の過ちもあっただろう。
全てが今の君に繋がっているんだ、まずは自分を誇りに思いなさい。
そしてこう続けた。
そしてだね、
"いつか幸せになれるはず" って考えは「今」を生きていない証拠だよ。
存在しない人生のことを考えている。
今が幸せでも、情けなくても、自分の人生だよ。
全部愛してやんなよ。
幸せになりたいなら、まず今の自分を受け容れるんだ。
先輩の言葉に、はっとした。
小さい頃からそうだった。小学校の頃は中学校を、中学校の頃は高校を見据えて、準備をしてきた。恋愛は将来役に立つかわからないから後回し。キャーキャー言っている同級生たちは、何が楽しいのかわからなかった。私は絶対幸せになるんだからと思いながら、その時はいつも幸せじゃなかった。
もうないものねだりはやめよう、と思った。